第26章 25
ローは私が抱きしめていたローのシャツに目を向けた。
『ごめんなさい。シワよっちゃったかな、、、』
寂しくてローの服を握ってたなんて恥ずかしくて、バレたくなかったけど何と誤魔化していいのかもわからなかった。
ロ「そのシャツこの辺においてあったはずだが。」
ローは下を向いていた私の顎を掴んで目を合わせた。
その表情は余裕たっぷりで意地悪そうに笑っていた。
ローにしっかりと目を見られて顔が真っ赤になっていくのがわかる。
私は何も答えられないでいた。
ロ「フッ不安にさせて悪かったな。本人が側にいんだろ。
そんなもん抱きしめてねぇで本物抱きしめたらどうだ?」
ローは私を立ち上がらせて向い合わせになると私の背中を押した。
私たちの距離は埋まり、目の前にはローの筋肉質な胸板があった。
私は少し迷ったけれど、その背中に手を回して少し力を込めた。
ローは力強く抱きしめ返してくれた。
先程までの不安な気持ちは消えて、心から安心する事ができた。
ロ「上出来だ。いつでもお前から甘えてきていいから遠慮するな。」
『きゃっ!』
しばらく抱きしめてくれた後、私は急にローにお姫様抱っこをされて先ほどまで寝ていた所に横にさせら、ローも隣に横になった。
ロ「もう少し寝るぞ。明日も忙しいだろうからな。体痛くないか?」
私達が眠っていた場所は屋内とはいえ、硬い床の上だった。
無事だった布団などは全て怪我人に使われている。
『これくらい大丈夫だよ!これでも2年間も無人島で暮らしたんだよ。』
ロ「そうだったな。」
ローは少し笑って見せた後、「お前が飛ばされたのが、俺のところだったらよかったのにな。」と言って少し悲しそうに頭を撫でた。
ローの表情に何も言えなくなってしまった私を見るとローは「冗談だ。寝るぞ。」と言って目を閉じた。
私もローの胸に顔を埋めて目を閉じた。
私はなかなか寝付けなかったが、ローは眠ったようだった。
私はいつまでローの優しさに甘えるのだろう。
こんな時、リリーが生きていてくれたら私を叱ってくれたのだろうか。
私に恋を教えてくれただろうか。