第20章 19
ルフィは下を向いたまま自分の頭を掻いている。
ルフィの声はドフラミンゴを倒した人とは思えない程弱々しかった。
『ホントに大丈夫だから顔を上げて?』
私はルフィの頭を撫でた。
ルフィは照れ臭そうに顔を上げるとまた太陽みたいに笑った。
ル「よかった!あと、好きって言うのは本気だぞ。いつかお前も俺のこと好きなるまで待ってるからな!」
ルフィは私の頭をクシャクシャっとした。
ロビンとフランキーの言う通りルフィは私を待ってくれると言った。
その言葉は私にはもったいないと思った。
それから私たちは、いつも通り話をした。
ルフィはサボさんと少しは話も出来たみたいでよかった。
ルフィはサボさんが生きててホントに嬉しそうだった。
みんなの前でキスされたことは驚いたし嫌だったけれど、ルフィと話しているといつの間にか怒っていた事も忘れてしまっていた。
少しすると、バルトロメオさんにサインを頼まれてルフィとは離れた。
サインなんて書いた事なかったけど、とりあえずでサインをしておいた。
バルトロメオさんと離れると、何となく1人になりたくて大きな船の中の誰も使っていない部屋のすみに腰を下ろした。
何だかほっとした。
ルフィがドフラミンゴを倒しやっと鳥籠から自由になったかと思えば、みんなの前でルフィにキスされ、気持ちの整理がつく前に海軍から逃げるため慌ただしくドレスローザを出港し気がつけば宴となっていたのだ。
久しぶりに1人になると、ドレスローザでの出来事を思い出してしまった。
目の前でローが撃たれた衝撃、、、
また大切な人を失うのかと思った。
その後、見聞色の覇気を使っても一瞬でドフラミンゴに捕まってしまったこと。
意識が戻ったローが私を逃そうとしてくれたこと。
目の前で起こる悲劇を縛られたまま見ていることしか出来なかった絶望。
ローとルフィが助けに来てくれた事。
ドフラミンゴに操られていたとはいえ、ローに攻撃してしまった事。
ローは私の攻撃を避けるだけで、一切攻撃をしてこなかった事。
大怪我をしていたウソップとロビン。
ローが瀕死の状態でまた、戦場へ向かった事。
ルフィが全てを背負い一人で戦っていた事。
覇気が使えなくなるまでになったルフィの事。
キュロスさんの家に運ばれていた2人の弱りきった姿、、、