第13章 12
このままではを無理やり抱いてしまうと思い、なんとか唇を離した。
お互いの唾液で濡れたの唇はいやらしく光っていた。
俺は体中が熱を持っている様な感覚だった。
今まで関係を持ったどの女にもこんなに欲情したことはない。
俺はをこれ以上傷つける前にその場を離れた。
告白の返事はドレスローザの作戦が終わってから教えてくれと言った。今聞いたって俺の望む答えは返ってこないだろう。
男部屋に戻ると黒足屋以外は既にみんな寝ていた。
黒足屋はまだキッチンだろう。
は明日からまた俺を避けるだろう。
俺は、好きな女を一時的な欲に負けて泣かせたんだ。
自業自得だ。
を俺のものにしたい。を抱きたい。
どんな策を講じればは俺を好きになってくれるだろうか。
はとにかく鈍感すぎる。
やっかいな奴を好きになったもんだ。
を俺の女にするまで死ぬ訳にはいかない。
俺は冷静さを取り戻し、ドレスローザでの作戦に意識を戻した。
日が昇る前に甲板へ出た。
ニュースクーが朝刊を届けるのはまだまだ先だが、どうせ眠ることも出来ない。
するとに声をかけられ、避けられると思っていた俺は驚いた。
は俺の隣に座り穏やかな声で話かけてきた。
の顔を盗み見ると、寝ていないようだ。
昨日の事で少し嫌味を言われたが怒っている様子はなかった。
を寝不足にしてしまったのは悪いと思い、今からでも眠る様に伝えたが俺とニュースクーを待つと言った。
なかなか俺と目を合わそうとしないの顔は真っ赤だった。
心の中では学習能力のない奴だなと思う。
そんな表情をされたら期待してしまう。
俺は手を握ってを揶揄う。
「ローのバカ。ローはいいよね。いっつも余裕で。」
は怒って言った。
は何にもわかってないんだな。
俺のどこに余裕があんだよ。
を見ただけで体は熱くなるし、が普通に話しかけてくれただけでこんなに舞い上がって、期待しちまって。
今でもキスしたい欲求を必死で抑えてるってのに。