第1章 世界一かわいい悪魔は今、腕の中で天使になる
「駄目なんです」
「なんで」
「口からの摂取じゃ、全然足りなくて。あたし、身体も全然成長出来てないし。全然満たされなくて。お腹すくといつも見境なくなっちゃう。我慢出来なくて。でも結局すぐお腹すいて。それの、繰り返し。そしたら凛太郎に出会ったの。あたし、ちゃんと満たされたい。凛太郎お願い、リッカ助けて」
「…………」
いや。
普通に考えて迷う必要ないだろ。
満たされないんじゃ可哀想だし。
いつもまずい飯食って腹空かせてたんじゃ割にあわねーっつーか。
人助けなわけだし。
迷う必要、ないだろこれ。
「………っ、あー」
不味い飯のために怖いの我慢とか、無理だもんなー。
怖いのに。
怖いけど。
リッカは困ってて、俺に頼んでるわけだし。
そう。
人助けなわけだし。
「………い!!………ぃ、よ」
「ほんと?」
「や、いい、っつーか、約束、したわけだし」
駄目だ。
直視出来ねぇ。
「ありがとうございます、凛太郎」
ぎゅ、て握られた手のひら。
やべ。
めちゃくちゃ柔らけ。
「…………ひとつ確認なんだけど」
「はい」
「これ、ヤったら死んじゃうとかフラグ立ってたりしない?」
「リッカ、上級の悪魔じゃないからそんなすごい力持ってません」
「あ、そうなんだ」
「はい」
えと。
じゃぁ。
「…………ほんとに、いいの?」
「はい」
いや。
俺がいいのか?
未成年に手、出して。