第1章 世界一かわいい悪魔は今、腕の中で天使になる
さきゅ…………?
何。
なんだって………。
「ひとくくりにしていいのであれば、悪魔、になります」
「は?」
あく、ま?
「はい」
「え、俺死ぬの?」
天使の笑顔振りまくくせに悪魔とか、は?しか出てこねぇから。
「直接的には、生命取ることはない、です」
「間接的には?」
「…………たぶん」
「たぶんって何。余計怖いんですけど」
「あたし、サキュバス、なのに口からしか摂取、出来なくて」
摂取。
生々しくてどんな顔すりゃいいのか。
「ほんとはもっと誘惑、的なことして栄養貰わなきゃいけないのに怖くて」
子供から誘惑、なんて言葉出るとは。
違和感。
「凛太郎!!」
「…………え」
怒ったような声に顔を上げれば。
目の前の彼女の目が真っ赤に光り、髪が重力に逆らって浮いてる。
そして。
ピシ。
て。
デスクの上の電気が割れた。
「な、何………」
「真剣に、聞いてないです………」
涙を両手で拭うように目を擦る彼女をとりあえずなだめて。
割れた電気に視線を送る。
…………偶然?
ぽう、とまた身体が光り出したのを見て。
「聞いてる!!聞いてるって!!」
慌てて肯定。
「えーと、それで俺に?」
セックス教えて、なわけ。
「なんで、俺?」
「凛太郎………美味しかった」
「え」
思い出したように急にトロン、となる表情に。
ドキン。
知らずに心臓が、跳ねる。
「ご飯が美味しいなんて思ったの、はじめてで」
「はじめて?」
「こんなもんか、って、いつも喰べてたから。不味くても栄養取らないと、死んじゃうから、仕方なくて。でも凛太郎、すごく美味しかった。だから凛太郎ならもしかしたら、怖くないのかもって。」
「………」
う。
これ。
喜んでいーのか、答え、迷う。
「………怖いなら、無理にしなくてもいいんじゃねーの?」