第3章 小悪魔天使がかわいすぎて困る
いろいろ。
あたしたちはこれでも悪魔。
本来なら、人間の精を死ぬまで貪り尽くす。
だけどそれは古来の話。
現代ではちゃんとこうやって人間と共存して生きてる。
人間には快楽を。
そしてその対価に、精を、分けてもらう。
このお店はいわばあたしたち淫魔たちの、仲介場。
いわゆる、『そーゆーお店』、だ。
ひとりに執着すれば負担になる。
手っ取り早く後腐れもなくご飯をもらうには最適な場所。
「深く考えすぎ」
くしゃ、て。
お兄ちゃんが頭を撫でて。
いなくなった。
圧倒的な、栄養不足。
口からしか摂取出来ないあたしは、なかから直接吸収できる速攻型と違って消化の過程を踏まなきゃいけない。
その分時間もかかるし、長持ちしない。
結果。
長年にわたる栄養不足のためひとより成長のスピードが、遅いんだ。
しかも消化不良並みの、不快感。
胃が痛い。
『腹減ったらいつでも来てよ』
凛太郎。
美味しかったなー。
気持ち良かったなー。
凛太郎以外でも、消化の過程踏まなかったらちゃんと喰べられたりするのかな。
直接吸収するんだもん。
こんな風に消化不良起こさなくていいのかな。
気持ち良く、なれるのかな。
「凛太郎…………」
「…………そんな顔するんだ」
「お兄ちゃん!!」
なんでまだいんのー?
「え、誰。」
「誰でもないよ」
「誰でもない顔してないじゃん」
「どんな顔もしてない!!」
「なんでもいいから、喰ってこいよ。死にそうだよ?」
「………」
自分だって最近まで。
…………あ。
「お兄ちゃんこそ、誰よ」
「教えるわけないじゃん」
「自分ばっかずるい!!」
「いいんだよ『お兄ちゃん』だもん」
屁理屈〜っ!!
「いいから、今日明日には貰ってこいよ?おまえ口からしか摂取できないん、だから………」
お兄ちゃんの言葉に思わず赤くなる。
自分でもバカ正直すぎて嫌。
こんなの、お兄ちゃんが見逃すはずないのに。
「え、いつ?」
ほら。
「ねぇいつ?ってか誰。お兄さまにちゃんと紹介して?」