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ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣




「…………雪乃さん」


いきなり名前呼び、とか。
いちいちドキドキさせんの、ほんと勘弁してよ。


「て、呼んでいいですか?」
「…………好きに、すれば良いでしょ」


「雪乃さん」

「何」


「好きです、雪乃さん」

「…………」


あーもー。
なんなのよ。
もう絶対騙されないんだから。
どーせ身体が、でしょ。
また美味しいとかいい出すんでしょ。
ドキドキなんてもうしないんだから。



「…………た、たか、なしくん………っ」
「何ですか?」
「ちょっと、近い…………」
「雪乃さん、もう一回していい?」
「え」
「また喰べたい。だめ?」


気付けば至極至近距離に彼の顔。
後退する様にベッドを移動すれば、いつのまにか、壁に手をついた彼のすっぽり腕の中。
しかもなんなのその捨てられた子犬よろしく潤ませた目は。
項垂れた耳と尻尾まで見えてきた。


「協力、してくれるんですよね?」


舐めるように耳に舌を這わせて。
吐息が耳から脳まで届く。

「っ」
「だめ?雪乃さん…………」
「ず、ずるい………」
「賢い、って言ってください」


「っ」


なんで。
昨日も今日も。
なんでこんなに、逆らえないの。



「雪乃さん…………」


いつのまにか押し倒されたベッドの上。
真上から見下ろされてる事実が恥ずかしくて腕で顔を隠せば。
その腕さえも捉えられ。
真っ赤に震えるみっともない顔が晒された。


「かわいい、雪乃さん」
「うるさい」
「かわいい、雪乃さん。好きです」

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