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ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣


「い、いない、なら?」
「いない、なら…………」


恥ずかしそうに視線を反らす仕草とか。
もう。
完全乙女なんですけど!?
かわいすぎるよ、ほんとに小鳥遊くんてば。
心臓、ぐんぐんくる。



「いない、なら…………っ、また、喰ってもいいですか!?」


きたー!!


って。


え?
喰う?


付き合ってください、とかじゃなくて?
一気に早口でまくしたてるから。
勝手に勘違いしちゃったじゃん!!
じゃ、なくて。
今。
今なんか。
すっごい恐ろしいこと言わなかった?


「あ、違う、違うんです!!喰う、って、そうじゃなくて、いや、そうなんだけど………っ」


一瞬青ざめただけでまた、あたしの気持ち読み取った、この子。


「ぇ、っと喰う、ってその…………っ、俺と、エッチ、してもらえませんかっ!?」
「…………」


え?


「…………」


え?


「…………え?」


いや。
待って今。


「はぁ?」


なんて…………。



「ごめんなさい!!ごめんなさいでもほんとに、俺、小山内さんの、美味しくて…………。小山内さんが協力してくれなかったら俺、たぶん絶対、死にます!!」

「…………」


誰。
この子天使なんて言ったの。
先輩脅迫してんじゃない。


「だいたい、なんなのよその、エッチ、しないと死んじゃう、とか。なんの病気なわけ?」
「…………病気、じゃないです」
「え?」
「…………あんまり、この言い方好きじゃないんですけど」
「?」
「『淫魔』、なんです俺」
「…………ぇ?」
「気持ちいいのが、ごはんなんです」


「…………」


ぇ、っと。
冗談、言うような子じゃないし。
こんな冗談で昨日の事を誤魔化そうとするようなそんな子じゃない。
そんないい加減な子じゃないのは、よく見てきたから知ってる。


真剣な、目。



「…………わかったわよ」
「え」
「わかった、って言ったの。協力する」

「…………信じてくれるんですか?」

「信じるも信じないも、小鳥遊くん、そんな子じゃないもの。キミの事を信じたの。それだけよ」
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