第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣
「!???」
え?
何。
何っっっ!?
頭パニックで動けないあたしの唇を割ってぬる、って。
彼の生暖かい舌が入り込んで。
さすがにやばい、と頭が警告する。
だけど。
逃げようとするより前に。
頭から警告指令が出る前に。
いつのまにかすっぽり彼の腕の中。
いわゆる床ドンな形から、逃げられない。
「ちょ…………っ、待って小鳥遊、くん………っ!!」
彼の指先が太腿を伝ってスカートの中へと侵入し。
荒い呼吸のまま、彼の舌が首筋を這う。
「やだ…………っ」
待って待って、待って!!
何これ。
何これ何これ何これ!!
「ね、小鳥遊、くん…………」
彼の侵入を防ごうと伸ばした指先。
「え」
は。
両手とも強く握られ床へと叩き付けられた。
強引に縫い止められた腕が痛い。
掴まれた指先が痛い。
だけどそれよりも。
「…………たか、な、し………?」
荒い呼吸。
充血した瞳。
獲物を狙う獣みたいに、鋭い視線と。
余裕を根こそぎ剥ぎ取った、口の端から溢れる唾液。
「…………っ」
ああ。
駄目だ。
これ。
逆らえない。
何故だかあの時。
本能的にそう思ったのも、事実。
あたしはあの瞬間。
かわいい後輩を。
小鳥遊を。
受け入れた。