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ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣


そもそもなんであたしが2つも歳下の後輩くんとこんな関係になったかといえば。
あれは1週間前。
残業帰りにフラフラおぼつかない足取りで道端に倒れ込む彼を見てからだ。


「え、小鳥遊くん!?何、どーしたの!?キミ今日直帰だったよね?もしかして接待?飲まされた?」
「あ、小山内先輩。飲んでないです、大丈夫」
「でもすごく顔色悪いよ?そーいえば最近元気なかった…………わぁ!!大丈夫!?」


駆け寄って肩を貸して。
倒れ込む彼を支えようとして一緒に倒れ込むとか。
お決まりすぎて恥ずかしい。
しかも公衆の面前。
酔っ払い相手、とでもまわりからは思われてるに違いない。


「大丈夫…………」

「って、顔してないんだってば!!ウチすぐだから、少しだけ歩ける?」
「…………すみません」
「仕事無理させすぎちゃったかな、ごめんね」


小鳥遊くん、なんでも器用にこなすから他の子よりも仕事頼むこと多くなってたような気もする。
なんで気付いてあげなかったんだろう。
あたしのバカ!!


「大丈夫………、仕事のせいとか、疲れとかじゃない、ので」
「!!…………もしかしてなんか、病気とか?」


辛そうに押し黙る彼を見て勝手に誤解して。
勝手に同情して。
警戒心を怠った。
いくら具合悪くても。
いくら可愛がってる後輩でも。
部屋に易々と男を招き入れるなんてしちゃいけないのに。
いくら弟みたいだなーなんて思ったって。
23歳は立派に男なわけで。
そんな大事なことを忘れていたわたしが悪い。
悪い、んだと、思う。




「小鳥遊くん、大丈夫?薬とかは?ある?今水持ってくるね」



ぐったりと肩で呼吸する小鳥遊くんをひとりリビングへと残し。
キッチンへと足を向けようとしたところで、右手がすごい力で引き寄せられて。


なぜか。
唇が小鳥遊くんのそれとくっついていた。
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