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ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第1章 世界一かわいい悪魔は今、腕の中で天使になる




「凛太郎」



よしよし、って。
リッカが背伸びして、俺の頭に触れる。


「凛太郎は、優しいですね」
「は?」
「いろいろお気遣い、ありがとうございます」
「え?」
「でも大丈夫。リッカ、我慢します」


「は?」


いやいや、我慢とか。
じゃなくて俺がいいっつって、さっきリッカも喜んで…。
あれ?
なんか話…………?


「はい。我慢します」
「………て、何が?」
「凛太郎に、会うの」


下向いて。
顔赤らめて、モジモジとしながらリッカが項垂れてる。
しゅん、て。
あからさまに落ち込みモード全開で。


「…………っ」


なんっで。
だから、かわいすぎだってば。
わざと?
ねぇ、それわざとですか?


「………べつ、に、我慢とか、しなくてもいい、と、思います」


なぜ敬語。
自分でも全然わかんねぇ。
でもなんでか。
このまま終わりにしたくなかった。


「それは駄目です凛太郎」
「え」
「リッカはこれでも悪魔なんです」
「う、ん?」
「凛太郎からごはんもらい続けたら凛太郎、死んでしまいます」
「…………え」


なんだか今日は朝からだいぶインパクトある言葉飛び交ってねーか?
寝ぼけてる暇、ねぇ。


「だから、我慢します」


いやいやほんと、寝ぼけてる暇ねぇし!!
パワーワードに思わず空っぽになりかけた頭ん中呼び起こして、帰ろうとするリッカの腕を掴んだ。


「我慢なんて、良くねぇって」
「…………凛太郎」

だって。
俺だって好きな酒我慢すんの嫌だし。
………いや、我慢するけども。
じゃなくてほら、やっぱ飯はうまいもん、食いてーじゃん。
だから。
だからさ。

「また、腹減ったらいつでも来てよ。」



「…………はい」



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