第1章 Bocca della Verità 死柄木弔(ヒロアカ)
彼女の個性は発現当初
洗脳に近い個性だと思われていた
彼女の母親は目を合わせた異性の精神を操る類の個性を持っており、その個性を色濃く受け継いだ彼女は異性を意のままに操ることが出来、それが自分の個性だと思っていた
8歳のあの日までは…
ーボッカデラベリタ
本名 橘 歩は今日も悪夢にうなされて目を覚ました
「ハァハァ…」
ベッドサイドに置いてあったペットボトルを掴んで水を飲む
暗い部屋の隅で不気味に光るノートパソコン
その画面には依頼主からの連絡
次のターゲットの情報が送られてきたのだろう
歩はベッドから降りるとパソコンの前に立ち、ディスプレイを見る
「死柄木弔…」
ヴィラン連合のトップだったが、最近異能解放軍を吸収したという…悪のカリスマ
ヒーローサイドでこの名前を知らないものなどいない
反対に死柄木弔は自分のことを知っているだろうか
最近派手に動きすぎていたから何か対策をされてしまえば、勝ち目はない
あくまで暗殺でないと、膂力で劣る私に勝機はない
でも…別に死ぬなら死ぬでいい
彼が私を壊すのが先か
私が彼を壊すのが先か
ただ、それだけのこと
彼女はディスプレイに映るターゲットにそっと触れると、ノートパソコンを閉じ、もう一度ベッドに戻った