第1章 Bocca della Verità 死柄木弔(ヒロアカ)
「お前俺の女になれよ」
死柄木は歩の胸に光る十字架を掴んで、彼女の身体を引き寄せる
十字架はバラバラと音を立てて塵となって崩れ落ち、歩はベッドに仰向けに倒れる
縛りつけられていた何かから解き放たれた気がした
ギシッ
死柄木は歩の上に覆い被さり、首筋に舌を這わせる
そして
「お前こそ何一つ悪くない… 大体自然界の中じゃ、交尾の最中に雌が雄を捕食するなんて珍しい話じゃないだろ?
だから罪悪感を持つ必要なんかない」
耳元で死柄木が囁く
「お前を縛りつける全てを俺が壊してやる」
赦された気がした
自然と涙が頬を伝う
「お前はもっと自由に好きに生きればいい
俺が壊した後の新しい世界で」
死柄木は歩の涙を舌で舐めとる
「だから…俺を受け入れろ」
そう言った死柄木の紅い瞳は幼い子供のようで
"僕を受け入れて"
そう言っているような気がした
もう迷いはなかった
歩は包帯に覆われた死柄木の頬を優しく両手で包み、そっと唇を重ねた
ーend