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BAD guys(ヴィラン・鬼・悪役)R18短編

第1章  Bocca della Verità 死柄木弔(ヒロアカ)


「ヒーローがヴィランに種付されて、こんなに悦んでちゃダメだろ」

「だって…弔が…」


「転弧…」

「…て…なに?」

「俺の元の名前」

死柄木は誰にも…それこそ仲間の誰にも言ったことのない、自身の本当の名前を何故か、歩に告げた

それが何故、と言われると自分でもわからない

誰かに全てを受け入れてほしかったのかもしれない


「転弧…」

「ッッ…やめろ、その声で呼ぶなよ…おかしくなるから」

「クスクス…おかしな人…自分で言ったんじゃない」

「うるせぇ、犯すぞ」


そう言って死柄木は歩を仰向けにし、ベッドに組み敷く


「転弧はどんな男の子だった?」

死柄木を見上げるようにしながら、歩が訊ねる

「俺は…俺はヒーローになりたかった」

「え……」

「勘違いすんなよ、ガキの時の話だ」

「今度はあなたの番よ、私に教えて…全部」


歩に耳元で言われ、直接声が脳髄に響く

それから口を開いて、自分の過去のことを全て話したのは彼女の個性のせいか…それとも自分の意思だったのだろうか



裕福な家庭に産まれたこと、父以外の家族は皆優しかったこと、父はヒーローになることを許さず、幼い転弧を折檻していたこと

「父以外の家族は、優しかったけれど…俺を助けてはくれなかった…ヒーローになっていいって誰も肯定してくれなかった…結局みんな、父には逆らえなかった」

「それで…家族を?」

「初めは溜まり溜まった感情がコントロール出来なくなって、お前と同じさ…個性が特別変異した」

「じゃあ…あなたも最初は殺意なんてなかったんじゃない」

「俺はただ、手を繋いでほしかっただけなのかもしれない。必死に伸ばした手で、触れた途端…家族はみんな壊れていった」

死柄木がそう呟くと歩は押さえつけられていた腕を伸ばして、彼を優しく包み込んだ

「歩…」

死柄木もまた強く歩を抱き締める


セックスしたことは何度もあったけど、誰かを抱きしめたことも、抱きしめられたこともなかった

「でもお前とは違う、俺はその後すぐに明確な殺意を持って、父を殺した」
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