第1章 Bocca della Verità 死柄木弔(ヒロアカ)
「このスケベな雌穴、調教し直してやるよ」
死柄木はイッたばかりの歩に容赦なく、ズンッと"手"を更に奥へと押し込む
「イグァァァァァッ!」
最奥を貫かれ、だらしなく涎を垂らしながら身体をヒクつかせる彼女から"手"を取り出す
"手"から滴る愛液を舌で舐めとりながら死柄木は
「ブッ殺してやる…」
と呟いた
そして背後から覆い被さると歩の耳を甘噛みしながら
「そいつは今どこにいる?」
と囁く
歩が愛した男
ヒーロー名はなんだ
個性は?
俺の知ってるやつか…
「死んだわ」
死柄木の思考を掻き消すように歩が呟いた
「あ?」
歩はゆっくりと首だけを死柄木の方に向けると
「私が殺した」
光の宿らない瞳で遠くを見つめながらそう呟いた
ナオは別れることを了承しなかったが、歩はそれを無視して、彼を避け続けた
ただ好きな人と一緒にいたい
それだけのことが叶わないこの呪われた個性を恨んだ
神は何故こんなにも残酷な運命を私に…
歩は首から下げた十字架を握り締めた
海の見える教会
いつかはここで結婚式を挙げたいと思っていたお気に入りの場所だった
跪き、古びたマリア像を見つめながら祈る
どうか彼が幸せでありますように…
「歩…」
彼の幸せを祈っていたからか幻聴が聴こえた気がして振り返った
するとそこにはいるはずのないナオの姿
「…ナオ」
驚きのあまり言葉を発してしまった
それに今は眼鏡も外してしまっている
マズイと思ったけれど遅かった
歩と目を合わせてしまったナオは虚な瞳で、ゆっくりと彼女に近づく
「待って!ナオ!来ちゃダメ!」
言葉を発する程に興奮を増長させると分かっているのに、パニックになって思わず叫んでしまう
逃げなければ
そう、私が逃げなければ危険なのはナオの方だ
彼を傷つけたくない
最悪の事態が脳裏をよぎり涙が溢れ出す
そこで歩にとっての誤算が起きた
彼女の体液、つまり涙はフェロモンを多く含んでいて、分泌されればされるほどその場にいる異性に対する効果が増長してしまうのだった