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もう一度、を叶えるために。second

第5章 やっと追いついた!




私は、混ぜ終わった兵糧丸の材料を捏ねながら考える。

イタチを追わなくてもいいのかって?
いいの、ほっとく。
腹立つし。
追える手立てはあるしね。


混ぜて、混ぜて、こねこねと混ぜて…。
私はダンっ!と怒り任せにボウルを置いた。


つまり、だ。

イタチは私の治療を受ける気が更々なかったって事だよね?
治療は終わってないって言ったのに。
まだ、肺炎しか治してないんだよ。
そんなの治したうちに入らないっての。
どんだけ病を抱えてると思ってんのよ。

「腹立つわ。」

でもって、一言の断りもなく騙す様にいなくなってさ。
ご丁寧に影分身でしっかり欺いて。

なんなん?

馬鹿にしてんの?


「はぁぁぁぁ…。」

…でも、よく分かった。

イタチにとって、私は取るに足らない存在なの。
昔からそうなのよ、きっと。

私は同じ一族の括りで、小さい頃に少しだけ一緒に修行しただけの、ただそれだけの関係。

「知ってた事じゃん。」

だから、イタチへの恋心なんて早々に捨て去った。
そうでしょ?
正に正解だったじゃん。

「だから、傷つく事なんて何にもない。」

それでもイタチを助けるって決めたのは私で、それを”約束”って形にしたのが兄ちゃんだ。

「…そうよ。やる事は何一つ変わらないんだから。」

兄ちゃんとの最期の約束を果たす、って私は誓ったの。

「絶対に諦めない。」

必ず追いついてやるんだから。

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