• テキストサイズ

もう一度、を叶えるために。second

第5章 やっと追いついた!



私は、鬼鮫さんと囲炉裏を挟んで対角線上に来る場所に、それとなく移動する。
すると、色々調理中だったせいで、湯気に隠れる事になった。
んで、作業しながら写輪眼に切り替えた。
まずは小手調として、蜃気楼の術を発動してみる。
これで私の状況は目の前にいても”見えにくく”なっているはず。
こっそり鬼鮫さんを見るも、反応は無し。
イタチもそのままだ。
次いで、万華鏡に切り替えて影分身を目の前に出すと、天ノ羽衣発動。
これで完璧に姿は分からない。

私は、気配を殺し、足音を消して鬼鮫さんに近づいた。
すると、ある違和感に気がつく。
姿形は鬼鮫さんなのに、どこか影が薄い様な、作り物めいている様な、そんな変な感じを覚えた。
この感覚は初めてじゃない。
忍なら当たり前に知っている感覚。

影分身だ。

私は推測を確定づける為に、そっと鬼鮫さんの腕に触れた。
触れた瞬間、凄い勢いでその場所から離れて私の方を睨みつける。
正確な位置が分からないのか、微妙に視線が合っていない。

「誰です?」

でも今ので分かった。
肉体の内側は全くの空っぽ。
影分身である事は明白だ。

私は術を解いて姿を現した。

「その前に、どういう事ですか?」

何でこんなことしてるのか、事情を知りたいよね。

私が真っ直ぐに鬼鮫さんを見ると、彼はニィっと笑う。

「やはり、あなたも”うちは”ですね。」

それだけ言うと、ボンっと消えてしまった。
一拍遅れて後ろの方からも、ボンっと音が上がる。

「……!?」

その音に慌てて振り向くと、さっきまで寝ていたイタチの姿が何処にもない。
念の為、と思ってがばりと布団を捲ってみても、やっぱりもぬけの殻。

「どういう、こと…?」

私は暫し、呆然としてしまった。

/ 356ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp