第2章 ここから、また始まる
ふと、近くの席から男の声で会話が聞こえてきた。
「……の、凄かったな。あれ、うちはの生き残りだろ?」
うちは…?久々にその名前聞いたな…。
「らしいな。さすがと言うべきか。けど、あいつ、うちはの落ちこぼれって聞いてたんだけどな。やっぱ蛙の子は蛙だよな。」
「あの技って千鳥っていうんだろ?確か写輪眼のカカシ、オリジナルって聞いたような…。」
千鳥…
うちはの生き残り…
「あの砂の奴も強かったけど、あれを破った千鳥は別格だよな。」
「あの砂の奴、ヤバくなかったか?俺、気味悪くて仕方なかったよ。」
砂の強い奴…?
それってもしかして…我愛羅?
まさか!?
「ちょっ、ちょっとすみません!もっと詳しく!」
私は思わず席を立って、男達に詰め寄った。
「なっ…。」
「はっ…?」
男達は互いの顔と、私を交互に見返した。
戸惑う男達から引き出した情報に愕然とする。
「待って…。それって、その中忍試験ていつの話ですか?」
「一昨日だ。」
「俺達、木の葉から帰ってきた帰り道だから。」
私は自分の失態に思わず顔を覆った。
「やっちまった…。」
「なんだ、お前も中忍試験見たかった口か?」
「凄かったぜ?なんせ、木の葉崩しもその後に始まったからな。」
「って言っても、俺達は眠らされて見られなかったけどな。」
わははっ、と言って笑う二人を曖昧に笑いながら見やった。
二人にお礼を言って、席を離れる。
これは、綱手様の借金をどうにかするどころではない。