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もう一度、を叶えるために。second

第5章 やっと追いついた!




「ただいま〜…。」

「おや、遅かったですね。しかも量が多くありませんか?」

そうなの。
宿である家まで歩いてたら次々に声をかけられて、あれもこれもとどんどん持たせてくれたの。
お陰で両手いっぱいに食べ物をゲットした。

「この町の人達って気前がいい人が多いみたいで。お陰であちこち寄る羽目になって大変でした。」

感謝してるけどね。

私が苦笑しながら答えると、鬼鮫さんは貰ってきた物を預かって漁り出した。

「これはあなたの人徳というやつでしょうね。私やイタチさんだったらこうはいかないでしょうし。」

言いながら、乾燥食品を多くチョイスしていく。

「これをください。お金なら払いますから。」

「いや、要らないですよ。仲間内で金銭のやり取りは御法度ですよ。」

嫌だよ。
トラブルに発展しやすい案件じゃん。
分けっこは当然でしょ。

「その代わり、その乾燥食品少し私にもください。私もほしいので。」

そう言ったら、渋い顔をされた。
えぇ?なんで?

「…私達は赤の他人だと思うのですがねぇ。まぁ、あなたが言うなら私に否やはありませんよ。」

私と仲間なのは嫌だって言いたいのか。
失礼しちゃうわ。

「鬼鮫さんって友達付き合いとかしないんですか?」

遠回しの嫌味だ。
面と向かって赤の他人なんて言われたら、いくら私でも凹むんだからな。

「そんなものしたところで何になるんです?」

うわぁ…。
心底不思議そうに言われちゃったよ。
この人には”友達”の概念がないのか…。

「あー…、うん…。今の言葉は忘れてください。」

にっこりしながら言った。
だって、そっとしとくのが一番だもの。
可哀想とか思ったらいけないわ。
価値観は人それぞれってね。

「…何を考えてるのか知りませんが、あなたに同情される筋合いはありませんよ。」

鬼鮫さんは心底嫌そうに顔を歪めた。

「だいたい、あなたは忍のくせに表情に出過ぎなんですよ。それじゃあ簡単に足元掬われますよ。まったく。」

「いいんですー。私は忍業なんてしなくても医者として食べていけますからー。」

ぐっと親指を出してドヤ顔したら、呆れた様な哀れんでいる様な顔を向けられた。

「…哀れな人ですねぇ。まぁ、止めはしませんが。」

むっか〜!!
哀れって何だ、哀れって!
っていうか、ほっといて!!


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