第5章 やっと追いついた!
町の大通りを歩きながら声をかけられそうな人を探して歩いていた。
外に出て作業してる人の方が声かけやすいんだけど、中々出会わない。
あ、あそこの家良さそう。
戸口が開け放たれてるし、人の出入りもある。
親切な人だといいな。
「おはようございまーす。」
声をかけながら開いてる戸をノックすると、はーい、と中から女の人の声で返事がある。
「はいはーぃ…あれ…?あぁ、もしかしてウルジんとこの?」
中から少し恰幅のいい女の人が出てきた。
っていうか、ウルジって誰?
あの家の家主?
「えーっと…?そうなのかな。私、途中で合流したから家主さんの名前知らなくて。町の端にある家なんですけど…。」
私が宿の方を指差しながら言うと、女の人は頷き返した。
「そうだよ、その家。あんた旅人さんかい?」
「はい。あ、昨日はお団子ごちそうさまでした!美味しかったです。」
私がにっこり笑うと、女の人は少し嬉しそうに笑う。
「悪いねぇ。この町は貧しいからあんな物しか出せなくて。」
「いえいえ、分けてもらってありがたいですよ。」
「そうかい?」
「はい。…それで、迷惑ついでにもう少し食べ物を分けて貰えないかと思いまして。一人、体調を崩してる人がいるので、出来たら消化のいいものを食べさせてあげたいな、と。」
「おや、大丈夫かい?」
「大丈夫です。しっかり食べて寝れば良くなりますから。」
何年後かにはね。
イタチ次第ってより、私の腕次第だ。