第5章 やっと追いついた!
もっと他に聞く事ないんかい、って自分に突っ込みたいけど、頭が上手く働かない。
「お陰で体が少し軽くなった。」
そう言ってイタチは薄く笑う。
穏やかな顔だった。
あの頃よりは大人びた顔立ちで、でも幼さもどことなく残っていて…。
なんだかぎゅっと胸が締め付けられる。
嬉しいのと、ほっとしたのと、笑いかけられた気恥ずかしさとが、ごちゃ混ぜになる感じ。
「そっか…。よかったよ、うん。」
何となく目を合わせられなくて、だけど、妙に男の人を意識してしまう胸元にも目線を持っていけなくて、きょろきょろとしてしまう。
何より全身が熱い。
「あ、そうだ。お腹すいてない?」
イタチは昨日ご飯食べてないんだった。
昨日貰った団子が、少しは残っていたと思う。
ちゃんと布に包んだからまだ柔らかいかも。
私はちょっとあたふたしながらも起き上がった。
その瞬間、冷たい空気に包まれて、ぶるっと体を震わせる。
イタチの方を見ると、布団を半分も分けてくれていたのが分かった。
恥ずかしかったけど、心遣いは素直に嬉しかったな。
「布団かけてくれてありがとね。すっごいあったかかった。」
私が笑いかけながらお礼を言うと、イタチは面食らった様に驚いていた。
「あ、あぁ…。」
…そんなに不思議ですか?
因みに何処ら辺が?
不思議に思いながらイタチを見ていると、すっと真顔になって布団を被って反対側に向いてしまった。
…ま、いっか。
おっと、団子団子。
まだ食べれますように。