第16章 みんなで呑もうよ♪
今日はもう寝ていいかな。
起きたばっかりだけど、熱もあることだし、いいよね。
ふて寝をするように、無の心境を作りつつ横になってみんなに背中を向ける。
日向ネジの顔なんか見たくねぇし。
みんなの顔はマトモに見れないし…。
…はあぁぁ〜。
だってもう、醜態晒してばっかなんだもん。
甘えてんのと変わらないっつうか。
傍迷惑なだけっつうか。
「はあぁぁ〜…。」
うだうだ考えてたら、誰かの足音が近づいてきて、すっとしゃがんだ。
「ほんとはさ、熱が下がってからって思ってたんだけど…。」
先生がそう言いながら、後ろにゴトンと何かを置く。
気になった私は振り返った。
…酒?
青い硝子の一升瓶に、たぷんと音がしそうなほど液体が詰まっている。
こんな時に??
「綱手様から。ヤなことがあったら、ぱ〜っと呑んで忘れるに限る!…って。」
うわ…言いそう。
「俺もどうかと思ったんだけどさ。お前見てたら、それも悪くないかと思って。」
「…いやいや、止めなアカンでしょ。」
あんたがストッパーやらなくて誰がやる?
「いいんじゃない?ちょっと呑んですっきりしたら?自棄酒なら付き合うわよ。」
ちょっと離れた所から紅さんが言い、先生が呆れたように振り返った。
「ちょっとちょっと?それ少しじゃないでしょ。」
「平気よ。量くらい加減するわ。」
「頼むよ?ま、俺も付き合うからさ。ちょっと呑もうよ、ね?」
瓶を揺らし、ちゃぷちゃぷっと音をさせる先生。
…まぁ、いっか。
このまま、いじいじとイジけてたってしょうがないもんね。
「じゃあ、ちょっとだけ…ください。」
「分かった。待ってろ。」
ぽんぽんと優しく頭をたたかれて。
先生と紅さんは準備に出て行った。