第15章 決別
「何だと!?」
「申し訳ありません。交代の隙を突かれました。」
「…被害は?」
「ありません。薬で眠らされているだけのようです。」
火影室で直轄の暗部から報告を聞いた綱手は、悔しさに歯を食いしばった。
「くそっ!!」
ダン!!
大きな音を立てて執務机が叩かれ、ミシリと嫌な音が鳴る。
「綱手様、落ち着いてください。」
「落ち着いていられるか!エニシが襲われたんだぞ!!」
暗部はその様子に、若干首を竦めながらも綱手が落ち着くのを待つ。
一緒に聞いていたシズネは、綱手を落ち着かせるべく、手を尽くし、同じくそこにいたカカシも何事か思案していた。
「…密偵がいた、と見た方が良さそうですね。暗部の配置換えと人員の見直し、同時に怪しい者には二段構えで尾行を付けるべきでしょう。」
そう聞いた暗部は、頭を抱える綱手を見る。
「…カカシの言う通りに。」
「はっ。」
報告に来た暗部が下がるのを待ってから、カカシが口を開く。
「…綱手様。」
「あぁ、おそらくはダンゾウだ。私の家にまで…!」
「エニシは大丈夫でしょうか…。」
その時、廊下が俄に騒がしくなる。
バタン!と勢い良くドアが開いたと同時にサクラが飛び込んできた。
「助けてください!ネジが…!ネジが暗部に!」
綱手はガタン!と勢い良く立ち上がった。
今、動かしている暗部はいない。
それはつまり、エニシを害そうと動いている根であるということ。
「何処だ!」
「こっちです!」
三人はサクラの後を追って駆け出した。