第15章 決別
駆けつけてみると、門の手前の大通りで一対多数の戦いが繰り広げられていた。
中心にいるのは柔拳を扱う人物、日向ネジだろう。
「これはまた…。」
「さすがね…。」
助太刀にと思ったカカシだったが、八卦掌の間合いに入るのは却って下策だと判断できる。
あと他の有効な手段は、綱手の鶴の一声だ。
「何をしている!!鎮まれ!!」
その一喝で、乱闘がピタリと止んだ。
「お前達、何のつもりだ!!」
何も言わず、戦闘態勢も崩さない彼らに、綱手は益々目元を険しくさせた。
「何のつもりだと聞いている!!」
綱手の怒鳴り声に、彼らはじりじりと引き下がる。
そして、一人を皮切りに次々と引き上げていった。
それを見て、サクラはほっと胸を撫で下ろす。
「良かった…。」
カカシは、少し疲れた様子のネジに歩み寄った。
「大丈夫か?」
「えぇ、これくらいならなんとか。」
カカシは向こう側に見える、大きな穴の開いた門を眺めた。
門番たちが数多く集まり、応急措置が行われている様子だった。
「…お前が逃がしてくれたの?」
状況から察するにそういうことだろう。
ネジは、少し照れくさそうにすっと目を逸らす。
「綱手様の命令ではないと判断したので。」
カカシは、それを聞いてくすりと笑う。
「ま、何はともあれ、助かったよ。…よく止めてくれたな。」
ネジは、無表情の中にも少し所在なさげにそわそわしながら「いえ…」とだけ返事をした。