第15章 決別
滞在、二日目。
久々に旅館のようなふかふかのお布団を堪能し、御膳のような朝餉をいただき、綱手様達を見送ってからのまったりタイム。
修行することも出来ないし、取り敢えずは様子見になるだろうな。
春になったおかげで、縁側の日向ぼっこが気持ちいいこと気持ちいいこと。
「平和だなぁ。」
ここだけ、切り取られたみたい。
『平和じゃないよ。』
『すごく、ぞわぞわする。』
ギンとゴンの言葉に二人を見ると、確かに怯えてるような落ち着きないようなそんな印象を受ける。
「どうしたの?」
なんとなく、不安が伝染して、私の気も立ってくる。
釣られて、双子の気もピリッっとひりついた。
『見られてる。』
『嫌な目。』
「…物珍しいとか、そういうのじゃなくて?」
『違う。』
ゴンが真っ先に否定する。
『獲物に向けるような感じ。』
ギンが的確に言葉にして返してくる。
その言葉に、すっと芯が冷える。
「…聞こえた?」
「「うん、聞こえた。」」
双子は答えると同時に、私の傍に寄ってきた。
ここにまでネズミを潜ませてるとは…。
こんな事をするのは一人しか知らない。
志村ダンゾウ。
「耳が早いやんけ。」
「綱手は敵?」
「いや、綱手様が見張られてる。」
ミケに答える。
「誰に?」
「さて…誰かな?」
タマには、敢えて答えず。
綱手様直属って線も捨てきれないし。
でも、確かめてみる価値はある。
写輪眼に切り替えて、素早く円を発動した。
すると、早速仕掛けられる。
短い槍を一本作ると、投げられたクナイ数本を叩き落した。
「ギン!」
呼ぶと、彼はしゅるしゅるっと私の懐へ潜る。
予め決めた通り、防御が得意なミケがゴンを抱き寄せ、タマが構えた。
「いいのかな〜?こんな事して。仮にも火影のご自宅よ?」
「ふん、抜忍の分際で…。」
一人の言葉に、三人の暗部が姿を現した。
「あら、暗部は綱手様の意を汲むものだと思ってたけど?」
「ふっ、火影など代わりはいくらでもいる。」
あ〜あ、やだやだ。
志村ダンゾウの部下で間違いないわ、こりゃ。