第15章 決別
庭の裏手に回り、念の為に人払いもしてもらって双子を口寄せすると、くたびれた姿の白虎が現れた。
二人は私を見た瞬間、どつく勢いで突進してきて甘え倒した。
「ごめんね、心配かけて。」
「ぜんぜん反応がなかったから怖かった。」
「家もあんなんだったし、死んじゃったかと思った。」
白虎姿だと、泣くってことが出来ないらしい。
ずっと寂しそうな鳴き声を上げてて、持て余す感情の吐き出し方が分からずにいるみたい。
「ごめんね。もう大丈夫になったから。」
宥めても宥めても、ぐしぐしと鳴く二人をなんとか宥めて、ゴンとギンも呼ぶ。
四人にはそれぞれ身を清めてもらって、双子には変化をお願いして、もう一回説明し直した。
「え、じゃあ、あの家の惨状は何?」
「イタチはどうしたの?」
「…イタチは…。」
あれは、イタチとの殺し合いの結果だ。
でも、それを口にするだけの心構えが今の私には無くて。
「暁の誰に襲われたの?」
「まさか、イタチもやられたの?」
ありのままを、この子達に話して聞かせるだけの余裕もなかった。
イタチにも懐いてた二人だからこそ。
「…イタチとは喧嘩しちゃったんだって。今のところ仲直りは出来ないから、当分は会えないかな。」
カカシ先生が上手いこと暈してくれて、それを聞いた二人は私を覗き込んだ。
「本当なの?エニシ。」
「何で喧嘩したの?」
まぁ、何で?って聞きたくなるよね。
気を使ってくれたみたいだし。
「…ごめん、まだ言えないっていうか…。私が落ち着くまで、もうちょっと待ってくれる?」
上手く笑ったつもりだけど、出来てなかったらしい。
二人は、泣きそうな顔で抱きついてきた。