第15章 決別
それから、私の体調が落ち着くのを待って、私は秘密裏に木の葉へと帰ることになった。
何で秘密裏にって…まぁ…。
堂々帰ったら、格好の的だよね、色々と。
ダンゾウは勿論、上役も黙ってないだろうし。
私も腰を据えたいわけでもないし。
「おお、戻ったか。」
「おかえりなさい。…エニシも。」
夜半過ぎ、綱手様のご自宅である千手屋敷に私達は通された。
迎えてくれたのは、綱手様とシズネさん。
私は、ぐっと込み上げるものを抑えて笑顔を浮かべた。
「綱手様、シズネさん。ただいま戻りました。」
そう言ったら、二人はやれやれと、ほっと息をついて笑う。
「ふむ、大分スッキリした顔をしてるな。」
「えぇ。お酒、ありがとうございました。美味しかったです。」
「そりゃそうだろ。とっておきだったんだからな。いつか、働いて返せよ。」
「え、くれたんじゃないんですか?まぁでも、その分の働きくらいならしますよ。」
そう言ったら微妙な顔が返ってきた。
「やけに素直だな。いつもは働きたくないと我儘を言うのに。」
「いや、我儘ってなんですか。だいだい、いつもは綱手様の借金の代わりだったじゃないですか。そんなの、やる気にならないですよ。」
身から出た錆ほど、萎えるものってないと思う。
「あたしの為に働くって意味じゃ同じだと思うが?」
「ぜんぜん違いま〜す。もうやる気からして別物です。」
綱手様は次第にげんなりしていった。
こういうやり取りをよくやっててさ、ヒートアップすると、キレた綱手様から拳骨が落ちることが結構あった。
「まったく…相変わらず減らず口ばっかりだな、お前は。」
「へへっ。」
「まぁまぁ、そこまでにしましょう。先にカカシさんから報告を受けましょうか。」
シズネさんがやんわりと話を切り替えると、カカシ先生が口を開いた。
「現地に着いてからの経緯ですが…ーー」
概ね、聞いていた通りの報告が始まった。