第15章 決別
「何が…。」
起きたの…?
よろよろと立ち上がると、暗がりだけど見覚えある風景…。
「ここって…。」
元の場所だ。
みんなでわいわいやってた隠れ家とも言えない隠れ家。
一瞬でなくなった、二度と戻らない光景。
「ぅ…ふ…ぅ……っ…。」
デイダラと双子がじゃれてるみたいな喧嘩して。
イタチと私で笑いながら見守って。
サソリさんと鬼鮫さんは気分次第でいたりいなかったり。
小南が遊びに来て。
時折、みんなでバーチャル空間で馬鹿やって…。
「ぅぅ…っく…ふ…ぅ…!」
私、馬鹿だ。
あの光景が仮初だって知ってたのに。
なんて馬鹿なんだ…。
ぼたぼたと零れ落ちる涙をそのままに、私はずるずると崩れ落ちる。
早かれ遅かれ、イタチとは決別した。
だって、望むものが真反対なんだもん。
それくらい、私でも分かる。
それでも…覚悟が、足りなかったんだ。
クナイを向けられるまで、何処かでイタチとはずっとこのままなんだろうって。
殺し合うなんてないだろうって。
根拠のないまま思ってたんだ。
そんなの…ただの現実逃避じゃんね。
「イタチ…!」
本気の目だった。
私の事、殺してもいいって目だった。
やっぱり、私は取るに足らないんだなって。
サスケを助ける為なら、誰の命だって…自分の命だって摘み取れちゃう。
知ってたじゃん。
今日はただ、事実を思い出した。
それだけの事。
「それでも…。」
止めない。
止めるもんか。
私は、息継ぎのような詰まる呼吸を落ち着かせるべく、ゆっくり吐いては吸ってを繰り返す。
ふうぅぅ…。
これで涙は大方止まった。
大丈夫。
やることは変わらない。
まだ二人は生きてる。
まだ終わりじゃない。
絶対、諦めない。
「落ち着きましたか?」
「うおっ…!?」
ななななに!?
だだだだれ!?
瞬時に写輪眼に切り替えて、声のした方から距離を取る。
すると、見覚えのある大きなシルエットが一つ。
「鬼、鮫…さん?」
「あなたはつくづく…忍には向かない人ですね。」
そう言って、ゆったりと鮫肌を構える。
その意図は…明白だった。
「……っ!」
鬼鮫さんが振りかぶると同時に、私は体勢を低くしながら蹴破った窓から外へ出る。
「逃がしませんよ。」
私は応える余裕なく、全力でより遠くへと走る。