第15章 決別
夜道を歩くイタチの頬を、一筋、二筋と雫が伝う。
エニシに放った言葉の刃は、そのままイタチ自身も傷つけていた。
シスイを手にかけたその手で、今度はエニシを殺さなければならない。
その時を思うと、イタチの心は一族を手にかけた時よりも悲鳴を上げる。
どこまで大事なものを失えば、この悲しみの連鎖が終わるのかと、自身の運命を苛んだ。
そして、ふとエニシへの気持ちの全容が見えた気がした。
「エニシ…。」
彼女を深く愛していた。
思うよりも…ずっと深く、ずっと強く…。
淡い想いは、いつの間にかこんなにも大きくなっていた。
気付いてしまえば、より一層胸の奥が痛んだ。
―殺したくない。
―傍にいたい。
―離れたくない。
こんなにも望むのに、決して手が届かない。
手を伸ばすには…もう、道が遠く離れすぎていた。
イタチは叫ぶ様に、痛む胸を押さえた。