• テキストサイズ

もう一度、を叶えるために。second

第15章 決別



夜道を歩くイタチの頬を、一筋、二筋と雫が伝う。
エニシに放った言葉の刃は、そのままイタチ自身も傷つけていた。

シスイを手にかけたその手で、今度はエニシを殺さなければならない。
その時を思うと、イタチの心は一族を手にかけた時よりも悲鳴を上げる。
どこまで大事なものを失えば、この悲しみの連鎖が終わるのかと、自身の運命を苛んだ。

そして、ふとエニシへの気持ちの全容が見えた気がした。

「エニシ…。」

彼女を深く愛していた。
思うよりも…ずっと深く、ずっと強く…。

淡い想いは、いつの間にかこんなにも大きくなっていた。

気付いてしまえば、より一層胸の奥が痛んだ。

―殺したくない。

―傍にいたい。

―離れたくない。

こんなにも望むのに、決して手が届かない。
手を伸ばすには…もう、道が遠く離れすぎていた。

イタチは叫ぶ様に、痛む胸を押さえた。

/ 802ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp