第15章 決別
「それに…。世界大戦が起こると、何故知っている?」
「……っ!」
エニシの顔は、みるみる青褪め、手が小刻みに震え出す。
イタチは自身の持っていたカップを置くと、エニシの両手に介添して、カップを下ろさせた。
「前に、言っていたな。物語として知っているのはナルトが凡そ十三才前後の頃だけだと。」
問うと、ぴくりと彼女の体が強張った。
動揺は明白だ。
震える彼女から伝わる、胸の痛みと温かさ。
イタチを案じている故の動揺だと分かる。
だからこそ、それを断ち切らなければならない。
「…俺の最期を知ってるな?」
確信を持って問うと、耐えきれなくなった様に泣きそうに歪む。
思わずふっと笑ってしまった。
どうしてこうも全て表に出てしまうのか。
イタチはゆっくり息を吐くと、握ったままだったエニシの手を殊更ぎゅっと握る。
「諦めては、くれないか…?」
無理だろう、とイタチは心の中で思う。
案の定、エニシは首を横に振り俯いてしまった。
「でないと…俺は…。お前を…殺さなければ、ならなくなる。」
―殺させないでくれ…。
「ただ見て見ぬふりをすれば、それでいい。」
―大事なものを失うのは、もう…たくさんだ。
けれども、エニシは俯いたまま頑なに首を振るだけ。
「見届けてくれるだけで、それだけでいいんだ。」
言葉を尽くしても、エニシはやはり譲らなかった。