第5章 やっと追いついた!
「そんなに酷いんですか?イタチさんの体は。」
他人事の様に聞いてくる鬼鮫さん。
部屋の隅で悠々寛いでおります。
まぁ、そうだよね。
所詮は他人事よね…。
「酷いなんてもんじゃありません。今まで見てきた中でダントツのワースト1です。」
本当に何で平然と歩いていられるのか不思議でしょうがない。
寝込んで起き上がれないのが自然だと思う。
あぁ、そうだ。
バイタルを確認しなきゃ。
熱は…、高そうだね…。
呼吸も少し雑音が目立つし早い。
脈は、許容範囲かな。
絶対、肺のせいだわ。
まずはここから取り掛かろう。
けど、今日一日じゃ全部は治せそうもない。
医療術って万能だと思ってたんだけど、それは怪我に対してだけだったりする。
病気も怪我と同じ様に治癒は可能だ。
けれど、速度が違う。
怪我だと、体が元に戻ろうと働くのか、形状記憶の様に術を使うだけで傷が簡単に塞がっていく。
これが病気だとそうはいかないのだ。
体は、異常がある状態が長ければ長いほど、その状態が当たり前だと認識するみたい。
だから、まずは体に異常があると気づかせるところから始まる。
分かりやすい例で言えば炎症だね。
免疫が反応して異物を攻撃するから熱が発生する。これが炎症。
病の治癒は、これと似たような事を患者の体内で起こして、その人自身の治癒力を活性化させて、私のチャクラでその補助をするといつたイメージだ。
だから、患者のチャクラと体力を大きく消費する。
ついでに、絶対治すぞ!といった気概も大きく影響するから、気力も必要になる。
さて、イタチはどうかと言うと…。
今現在、チャクラも体力も尽きかけてる。
気力も怪しいところだ。
生きたい、生き残りたいって気持ちがあるのか疑問だよね。
だって、こんなボロボロの状態で、自身を顧みる事なく平然と動いてるんだもの。
体の心配するならこの行動はないと思う。
そういうのも全部ひっくるめて長期戦になると思う。
本当に少しずつ、少しずつの治療になるから。
「さて、頑張りますか。」
私はチャクラを手の平に溜めて、気管支から当てた。