第14章 ♪龍地洞ってどんなとこ?
外に出て、かまくらから距離を取るように林の中を歩く。
歩く度にシャリシャリと土と共に霜柱の崩れる音が響く。
少しして、ぽっかりと木々がない場所に出ると、満月の明かりが煌々と二人を照らした。
「それで、何の用だったの?」
静かなライールの問いに、サソリは振り返る。
「おそらくは、お前と話すのは今日限りになる。昼間、襲撃されなかったか?」
何故知っているのか、と言いたげに困惑するライール。
サソリはその場にいなかったのにも関わらず、だ。
「…えぇ、二人の男が殺す気でかかってきたわ。…もしかして、あなたも私を殺す気でいるの?」
疑いと諦めと、僅かな怒り。
ライールは硬い空気を纏う。
サソリはそれに気づかないふりをしつつ、遠くを見るようにして彼女から目を逸らす。
「明日には指令が来る。そしたらデイダラと合流して狩りをすることになるだろう。」
狩りとはつまり、エニシを殺す指令ということなのだろう。
だが…
「…どうして、明日そういう指令が来ると知っているの?」
これが大いに疑問となる。
サソリは任務でエニシとは別の場所にいた。
本拠地である雨隠れとも違う場所だった筈。
なのに、何故その情報がサソリだけに入るのか。
ライールの問いに、サソリは冷笑を返す。
「この俺が彼奴等を丸々信じていると思う方が間違いだと思わないか?」
「…つまり、密偵でも潜ませてる…ってこと?」
「当たり前だろうが。情報を制すのは基本だ。」
その言葉に、ライールは呆れながらも用意周到なその手腕に舌を巻く。
そして、自身の甘さを改めて思い知る。
ー私もまだまだね…。