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もう一度、を叶えるために。second

第5章 やっと追いついた!




三十分ほど歩くと、目的の町が見えてきた。
町って言うより、村って言った方がしっくりくるほどには小さい。
けど、外からの出入りが殆どない。
潜伏するにはもってこいなんだろうな。

鬼鮫さんは町の端にある家へと迷いなく進んでいく。
近くまで来ると、住人らしき人が箒で枯れ葉を掃除しているのが見えた。
だが、こちらを見た瞬間、

「ひっ…!」

飛び上がる様に体をびくつかせて逃げ出してしまう。
それを見て、なんとなく鬼鮫さんを見てしまった。
この人、一体ここの人に何をしたんだろう…?

すると、私の視線に気がついた鬼鮫さんがこちらを向いた。

「何見てるんですか?」

「いえ、別に…。」

どんな脅し方したんですか、なんて…さすがに聞けない。

「言っておきますが、交渉したのは私ではありませんよ。」

「え、鬼鮫さんが脅したんじゃないんですか?」

違うの?

「違いますよ。イタチさんが普通に借りました。」

えぇ〜…。
じゃあ、あの怯えようは一体…?

私は住人が逃げて行った方を見遣る。

「…やっぱり、あなたは私の名前を知ってたんですね。」

少し訝しげに鬼鮫さんが私に尋ねた。
突然変わった話題に、一瞬反応が遅れてしまう。

あー…。またやっちゃった…?

「…まぁ…、割と、有名人ですよね…?」

見た目も豪快だし?
歩いてたら絶対目立つよね?

しどろもどろに目を泳がせながら答えると、ため息が聞こえて見上げた。
すると、可哀想なものを見る様な目でじろじろと見る鬼鮫さんと目が合った。

「…よくもまぁ…。まぁいいでしょう。名乗る手間が省けたと思っておくことにします。」

なんか知らんけど、バカにされた事は分かった。
けど、こちらも深くは突っ込まれたくはない。

「そうしていただけると助かります。」

少し棘がある言い方にはなったが気にしない。
失礼はお互い様だ!

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