第5章 やっと追いついた!
「…いつからなんですか?」
血を吐くまでに悪化してたのはいつからなんだろう。
「どのくらいでしょうかねぇ…。かれこれもう二年は経ちますかね。」
二年…。
まだ浅いと見るか。
いや、さっきの咳き込み方はかなり深刻だ。
「その間、どうしてたんですか?」
まさか、ただ我慢して耐えてた?
「ヤブですが、腕の立つ医者がいましてね。そいつから薬を買ってたんですよ。」
ヤブ医者か…。
どこまで信用できるものか。
けど、作中でも薬で病を抑え込んでたって言ってた様な気がするし、変な物を飲んでたとは考えづらい。
あとで薬を見せてもらおうかな。
「で、結局あなたはイタチさんのなんなんですか?」
あ、そうか。
自己紹介がまだだった。
「私は見ての通り、うちは一族の生き残りでエニシって言います。」
「それは見てたら分かります。ですが、イタチさんと何の関係が?それなりに親しかった様ですが。」
なんだか文面だけ聞いてたら、いきなり割り込んできたどこの馬ともしれない小娘を尋問する姑みたいだな、とか阿呆な事が思い浮かんだ。
鬼鮫さんはいたって穏やかに、純粋に聞きたいって声音だけど。
「関係は…、そうですね…。
私の兄はイタチの親友でして。兄と三人で、修行とか任務とかも一緒にやった事あります。」
私は勝手に幼馴染って思ってたんだけど、イタチはどうなんだろう。
「幼馴染、といったところですか?」
私が思ってた事を言った鬼鮫さんを、少し驚いて見上げる。
「違うんですか?」
その言葉に、私は視線を切る様に前を向く。
違わない、ってはっきり言えたら、こんなもやもや抱える事もないんだろうけど…。
「どうでしょう…。私はそう思っていますけど。」
イタチの気持ちって昔から読みづらいから、ぼんやりとしか分からなかった。
「そうですか。」
鬼鮫さんは気にする事なくそう言うと、それきり黙って歩みを進めた。