第13章 思ってたよりも綺麗な人
夜も更けて深夜に近い時分。
「二人とも準備はいい?」
「「大丈夫。」」
「小南、お願い出来る?」
「本当に大丈夫なの?」
「多分、いけるはず。」
「…一発勝負も過ぎればただの無謀よ?」
ちくりと小言を言われて私は苦笑する。
「分かってる、ありがと。でも、’’やってみなけりゃ分からない’’が昔から私のモットーなのさ。」
それを聞いた小南はやれやれといった感じでため息をついた。
何をしようとしてるのかと言うと。
今から、万華鏡で長距離瞬間移動を試そうとしてるのさ。
練習の時に四苦八苦した結果、札で補助をすれば出来なくはないってことが分かった。
成功率は六割弱。つまり、確率は半々ってとこだ。
なので、着地点の札を小南に持っててもらって、出来るだけ滝隠れ側の国境近くまで行ってもらう。
んで、そこまで一気に三人で飛ぼうと思いついたってわけ。
いくら夜が安全だと言えど、二人は白いから目立つ。
口寄せを…と思ったんだけど、さっきのやり取りで置いてかれるんじゃないかと思ったらしい双子が納得しなかったんだわ。
じゃあ、と思った時に閃いたってわけ。
「イタチが過保護になっていくわけだわ…。」
「う〜ん、そんな過保護かな…?」
過保護だなって思う場面は、多少なりともあるから分からなくはないけど、イタチのことだから、使命感や責任感ありきのことだと思う。
「仕方ないわね。術が成功すれば外にいる時間は少なく済むのも確かだし。」
「へへっ、分かってるぅ〜。」
「もう、調子いいんだから…。じゃあ、行ってくるわね。」
「うん、お願いします。」
小南は着地点の札を持って、そっと家を抜け出して行った。