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もう一度、を叶えるために。second

第13章 思ってたよりも綺麗な人





カチ、カチ、カチ…


カチ、カチ、カチ…



…で、約束の時刻。

「…よし、やるか。」

「「がんばれ〜。」」

写輪眼から万華鏡へ。

誰にも内緒でコツコツ練習してきた。
イタチにすら言ってない、長距離瞬間移動。
そろそろ成功率が安定してくれるといいな、と思う。

「いくよ。」

私の言葉に双子が身を寄せてきて、私も両手を回して抱き寄せる。

ぐっと目に力を入れて術を作動させると、最初は空回る感覚があったものの、覚えのある手応えがあった。
少しの浮遊感と共に景色が変わる。
一歩踏み出すと、小南が驚いたように目を見開いて、それから微笑んだ。

「上手くいったわね。」

そう言って、渡していた札を返してくれた。

「うん、付き合ってくれてありがと。」

その札をいそいそとしまうと、「うしっ。」と気合を入れた。

「じゃ、行ってくるね。」

「気を付けて行くのよ。」

「うん、小南も気を付けてね。」

私との関係がバレないように。

少し寂しそうな笑顔を見て、ふと、これが最後だったら…、という焦燥感が湧き上がった。
本当に、もう会えないかもしれない…。
そう思うと、きゅっと胸の奥が締め付けられる。

私は迷うことなく小南に飛びついた。
やっぱり彼女は紙の分身だったけど、かまうもんか。

「小南、大好きだよ。」

後悔はしたくない。
伝えたいと思ったその時に言葉は伝えなきゃ。
短い間だったけど、静かで優しいお姉さんな小南は、大事な人の一人になった。

カサっという紙の音と共に、抱き締められる感覚があった。

「私もあなたが好きよ。」

ふふっ。
嬉しいな。

そっと手を緩めると、小南もそっと緩めた。
私はすっと走り出してから、少し振り向いて手を振った。

「またねっ!小南っ!」

私は待っていた双子と共にそのまま走り出した。

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