第5章 やっと追いついた!
「…さっき、私にかけた月詠ね。あの内容、嘘だって知ってるの。本当は兄ちゃんに殺せって言われたんでしょ?」
イタチが驚きに目を瞠って私を見る。
これで、確定だね。
「…兄ちゃんが酷い事して、ごめんね。」
ごめんなんて言葉じゃ拭いきれないくらい、深い傷になってると思うけど。
兄ちゃんだって全て承知で、それでもイタチに残したいって思ってた事も知ってるけど。
でも、兄ちゃんがこの場にいたら一言くらい詫びたと思うから。
余計な事かもしれないけど、言いたかった。
イタチはそれを聞いて、少し俯いた。
「…お前が謝る事じゃない。」
…そう、だよね。
なんだか、拒絶された様な気分になったけど、こればっかりは二人の問題だし、覆す事の出来ない問題だとも思う。
私は自然と下がった視線を無理やり上向かせた。
「とにかく、治療させてほしい。」
私が言い募ると、イタチは怪訝そうに私を見遣る。
「…さっきから、何で俺が体を壊してると思うんだ?」
…そこ、突っ掛かっちゃう?
突っ掛かっちゃうよねぇ…、イタチだもの。
まさか、あなたの未来を知ってますとも言えない。
色々と誤解を受ける上に、後々、かなり警戒されそう。
何か上手い言訳は…、…あ!
「小さい頃、お腹痛そうにしてるの見たことあるし、気になってたの。あれから色々調べてたし、可能性のある病も知ってる。もし異常があるなら早期発見、早期治療で完治出来るし。」
「…それだけでか?」
まぁ…、よく考えたらストーカーっぽくない事はない、かな…。
あれ、不味くない?
誤魔化せ、誤魔化せ!