第13章 思ってたよりも綺麗な人
あれから、一ヶ月は経った。
やっぱり、あの日以来、小南がここへ来ることはなくなった。
あの二人にちゃんと向き合うには、時間も絆も足りないと思う。
小南には生きててほしいと思うし、小南が大事にする長門さんにだって、近くに目を向けてほしいと思う。
でも…。
この想いは、私の独り善がりなんだろうな、とも思う。
私が、周りから「別の道があるよ」って言われても頷けないのと一緒だ。
二人には二人の譲れないものがあって、絆があって、叶えたい願いがある。
方法はどうであれ、それを成就することが生き甲斐で…生きていく上での道標なんだろうな。
そう考えると、この間の私の言葉は大きなお世話であり、二人の信念を傷つけるものだったのかも…。
でも…傲慢かもしれないけど、言わなきゃ良かったな、みたいな後悔はない。傷つけたことは申し訳ないと思うけども。
長門さんの言うように、私達は何処まで行っても平行線なのかもしれない。
…近い内に綱手様に会いに行った方がいいかな。
長門さんは止まらない。
そうなれば、自来也様はいつかアジトに行くって言い出すかもしれない。
でもそれは、偵察という視点で見れば無駄になる。
…止められるんなら、止めるべきなんだろうか。
自来也様は勿論、二人にとっても自来也様の死はマイナスでしかないような気がする。
「お前、さっきからずっと手が止まってるぞ、うん。」
「あぁ、うん…。」
お休みは今日しかないんだから、ちゃっちゃと終わらせなきゃならないってのにね。
私は筆を置いて、静かに息を吐く。
「まさか、お前ら喧嘩でもしたのか?」
「え?」
「小南だろ?うん。」
的確に当てられて、思わず目を瞠った。