第12章 懐かしい顔と新しい顔
「おい、どういうことだ?」
「私もよくは知らないですけど、この子たちの親は見たことなかったんで、攫われたか拾われたかなんだろうな〜と思ってたんですが…。だよね?」
イタチにも振ってみたら、頷きが返ってきた。
「俺も親を見ていない。大名屋敷で大きな檻の中で二匹だけで飼われていた。」
それを聞いて、サソリさんは溜め息と共に頭を抱えた。
「世の中、馬鹿が多すぎる…。」
「ほんとにね。」
それについては全面同意する。
めんどくせぇ…、と呟きながら、サソリさんは巻物を開いて、何かの巻物を取り出した。
「ほらよ。」
ぽん、と投げてよこされた巻物を開いて読んでいくと、
「おぉ?これって…。」
「契約について、か?」
イタチにも見えるように開くと、隣に座って一緒に読んでくれる。
「お前に見せたんじゃねぇんだがな。」
サソリさんは、なんとも渋い顔でイタチを見るもんだから、私は「すんません」と謝りながら、ぺこっと頭を下げる。
「でも、私だけだと自信なくて。イタチの方が正確なんですよ。」
「…字くらい読めるだろ。」
「解釈が悪かったりして?」
てへ☆、と誤魔化したら「ふん」と鼻白まれた。
「あとでちゃんと返せよ。」
そう言って、サソリさんは背を向け、すたすたと歩き出す。
と思ったら、また振り返った。
「汚すんじゃねぇぞ。」
「了解であります。」
ぴしっと敬礼すると、特に突っ込まれず(スルーされたとも言う)、サソリさんはそのまま家に帰っていった。