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もう一度、を叶えるために。second

第12章 懐かしい顔と新しい顔



「そうだな…。何故このタイミングなのかも気にはなるがな。」

「タイミング?」

「何故、今日出てきたのか。その条件だ。大方予想はつくが。」

うちはイタチが関係していそうだ、というのは想像がついた。

「…つくづく、嫌なことを聞いてくる人ね、あなたって。」

ライールの顔からは怒りと呆れが混じった感情が見て取れる。

「どうせなら聞いておいた方が張りやすいからな。」

「呆れた…。また私を待ち伏せするつもりなのね。」

ライールは眉間に指を当てて解すように、ぐりぐりと撫でる。

「はあ…。会いたくないからよ。」

「うちはイタチか。だから今日だったんだな。」

やはり、とサソリは納得する。
だが、同時に何故、という疑問も浮上する。
エニシは慕っているのにライールは避けている。
それは、随分とちくはぐのように思えた。

「…分かっていたのね。」

「まぁな。」

サソリはそこで不意に言葉を途切れさせた。

この問いを口にするのは、何故か戸惑いを生んだからだ。
だが、聞けるのは今しかないかもしれない。
そう思い、彼はまた口を開く。

「あの時、言っていたな。『嘘つき』と。」

ライールはそれを聞くと、ぴたりと動きを止める。

「お前から感じたものは正と負、両端の感情だった。」

何を思っているのか、何が見え隠れするのか。

「知って…どうするの?」

ライールの瞳が戸惑いに揺れる。
それを見たサソリは、お前には関係ない、などという突き放す言葉を言えなくなった。
サソリは言葉を探すように夜空を見上げる。

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