第12章 懐かしい顔と新しい顔
「そう、忠告はしたわよ?」
「くだらねぇ。そんなどうでもいいことよりもテメェのことを話せ。」
「これ以上、何を知りたいって言うの?」
歯牙にもかけないサソリの様子に、ライールは呆れ顔を見せる。
「普段、何をしている?何故エニシには姿を見せない、存在を隠す?」
「普段、ねぇ…。別に何をするわけでもないわ。ただ、遠目にこの子の生活を眺めてるだけ。外を見たくなったらこうして出てきて気晴らしをする。その程度よ。」
「エニシがお前を知らないのは何故だ?」
「この子に関わりたくないからよ。これからも関わるつもりはないわ。」
「へぇ?もし、俺がエニシにお前のことを話したらどうする?」
その問いにライールは冷笑する。
「ふん…。どうもしないわ。一切応えなければ、ないものと同じになるもの。」
「つまり、姿を見せなくなると。」
「そうね。あの子に言うのならこれ以上話すつもりもない。その札を使うなら使えばいいわ。」
サソリはライールの拒絶を悟り、面倒に思う。
実を言えば札はハッタリだ。
それを使えるのならば、こうして待ち伏せる必要はないのだから。
ー籠もられるのが一番面倒だ。
「いいだろう。エニシには黙っておいてやる。」
「そう…。それで、他には何か?」
どうやら、怒りは収まったらしい。
まだ話を続ける気になったようだ。