第2章 ここから、また始まる

…思い出せば思い出す程、この二人が私を受け入れてくれたのが不思議でならない。
いつ手のひら返されるか、或いは暴走するか、とさぞ気を揉んだ事だろう。

「あの出会いじゃ、そう思いますよね。」

あの時、いっぱいいっぱいだったもんな。

「あの状況じゃあ、それも仕方がないと今は思うわ。」

そう言って笑うシズネさんに、私は複雑に思いながらも笑って返した。

シズネさんは姉みたいな人だなぁ、と思う。
面倒見が良くて、思いやりが深くて、あったかい人。

「そう言ってもらえると、楽になりますよ。」

私は二人に出会った頃からを振り返る。
太陽みたいな綱手様と、月みたいなシズネさん。
この二人がいたから、私はここまで落ち着く事ができたのだと思う。

「…綱手様とシズネさんには、すごく感謝してます。」

「どうしたの？急に。」

シズネさんは、きょとんとした顔で不思議そうに見上げた。

「いや、言える内に言っとこうと思って。」

多分、もうすぐ物語が動き出す。
そうしたら、私はここから去らなきゃならない。
伝えたい事は後回しにしたらだめ。

「や〜ね、急に改まっちゃって。」

シズネさんは照れ臭そうに笑った。