第2章 ここから、また始まる
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『私はイタチを助けたいんです。その為にあなたから医術を学びたい。』
頼む私に綱手様が眉を顰める。
『…断ったらどうするつもりだ?』
その言葉に目が熱くなった。
綱手様達が息を呑む。
この時、私の目は万華鏡写輪眼になっていたという。
『断ったら…この足で暁に向かう。イタチを少しでも助ける為に、私はこの手を血で染める。』
どんな事をしてもイタチを守る。
私にはもう、それしかやる事がないと思っていたから。
『私はこの眼を使ってイタチの為に何でもやる。人の命なんて、もう厭わない。』
兄ちゃんの死が開眼の手助けになったなんて、皮肉なもんだと思ったっけ。
兄ちゃんを死に追いやった奴らが憎かった。
もう、他人なんて顧みてやらない、と本気で思っていた。
『なら、教えれば厭うのか?』
綱手様の問いに、私は本気で首を傾げた。
他者を顧みる必要性が全くといって感じられなかったから。
綱手様は、そんな私を見て大きくため息をついた。
『…分かった。教えよう。』
『綱手様!?』
シズネさんから悲痛な声が上がったが、綱手様がそれを止めた。
今思えば、あの気性の真っ直ぐな綱手様がよく教えてくれる気になったもんだと思う。
シズネさんの懸念も理解できる。
『但し、条件がある。』
『医術を人殺しの道具に使わない事。そして、暁をはじめ犯罪組織に手を貸さない事。約束できるか?』
私を野放しにしておくよりは、条件を呑ませて首輪をつけた方が安心だった、って判断だったんだろうか、なんて今では思う。
私は特に不自由しないその条件を呑んだ。
『…分かりました、約束します。どうか教えてください。』
私が頭を下げると、今度は二人揃って大きくため息をついた。
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