第12章 懐かしい顔と新しい顔
「意外にかかっちゃったな…。」
地下にいると時間の感覚狂うよね。
太陽の傾き具合から夕方間近。
「急いでご飯作んなきゃ。」
確か、倉庫に野菜がまだ残ってた筈。
肉はあったかな…。
確かベーコン擬きがあった筈。
家が見えてきた!
「ただい…」
駆け込むようにバタンとドアを開けてから、慌ててまた閉めた。
…………。
あれ?
ここ私ん家だよね?
外観も場所も合ってるよね?
確認したけど、何度見ても私ん家。
…………。
誰!!?
そろりそろりと後ろ向きのまま、その場を離れる。
すると、とん、と固い何かに背中が当たった。
「黙って中に入れ。」
カタカタカタ、と奇妙な音を立てながら視界の端にデカいクナイのような切先が映り込んだ。
そこから、毒液のような何かが滴っている。
「それとも人形にされたいか?」
そう言って、その切先を向けられる。
私はそろりと控えめに両手を上げた。
「…あの〜…」
「黙って入れっつってんのが聞こえなかったのか?」
問答無用すか…。
私は仕方なく押される様にして中へと入っていった。