第12章 懐かしい顔と新しい顔
地下に作られた精密な監獄、と言えば伝わるのかな。
ぴたりと閉じられたドアがずらりと並び、蛇行した廊下は閉塞感を感じる。
その場所その場所で、薬品の匂いだったり消毒の匂いだったり。また、その匂いが混じってたり全く別の何かの匂いだったり。
最低限の明かりが点々としてるせいもあって、不気味な印象。
それに、同じ様なドアが幾つもあるせいで、地図を頭の中で描こうと思っても上手くいかない。
元々、方向感覚は強い方じゃないしね。
「何処まで行くんですか?」
既に記憶に自信がない状況。
出来ればそろそろ部屋に入りたい。
「もうすぐよ。」
その申告通り、少し行った所の部屋に通された。
ほっ、思ったほど暗くなかった。
ちゃんと電気は通ってるし、換気が行き届いてて清潔感ある。
でも、この匂い何だろう?
香水系じゃない独特の匂い。
ちらっと後ろを盗み見ると、二人はほんの一瞬アイコンタクトを取ってカブトが部屋を出て行った。
…何かあるんだろうな。
「掛けて。何か飲む?」
「あぁ、いえ…。お構いなく。」
テーブルに促されたので椅子に掛けると、大蛇丸が正面に座る。
「それで、どうして私に会いに?」
「龍地洞の場所を教えてもらえないかな、と。」
そう言ったら、大蛇丸は面食らったような顔をした。
「…サスケ君じゃないの?」
「本人が望んだのに、私が連れ戻せるわけないですよ。」
呪印の影響もあるだろうけど、あれはイタチとの蟠りが膨れ上がった成れの果てだ。
だから、どうにか出来るのはイタチだけ。
私じゃ役不足もいいところ。