第12章 懐かしい顔と新しい顔
「…忘れてました?」
「めんご。」
そう言って術を解くと、大きくため息をつきながらこれ見よがしに埃を払われた。
あ、怒っちゃったみたい。
「勿論、あの二人も離してもらえるんですよね?」
「うん、離すって。そんな怒らんでも。」
見かけによらず短気だな、この人。
私はカブトを横目に、二人の近くにあった岩鋭槍に触れると、さっきまで大人しかった女の子の方が騒ぎ始める。
「このブスが!!さっさと離しやがれ!!」
…うんわ〜、口悪〜…。
「さっきまで大人しゅうしてると思うたのに…。やれやれぜよ。」
何て言うか…この世界で方言を聞くと…凄い違和感がある。
「あー…その口調って昔から?」
思わず聞いたら、ガハハって大笑いされた。
「そうぜよ!よく言われるぜよ!」
「家族揃って…?」
失礼だけど、聞かずにはいられない。
どこの人なんだろ。
そんな方言の地方あったっけ?
「こまい頃に親切な人がいてな、血ぃの繋がりのない俺を育ててくれたがぜよ。」
「そうなんだ〜。いい人と出会ったんだねぇ。」
…聞いといて何だけど、串刺しのまま聞く話じゃなかったね。
解術っと。
「おう…。」
ズブズブっと剣山が体から抜けていき、それぞれが体をほぐし始める。
二人ともピンピンしとるがな…。
おっかね。
「てめぇ…、よくもやりやがったな!」
女の子の方は毛を逆立てた猫の様。
「いや、黙って殺される人はこの世にいないと思うよ?」
「てめぇは黙って殺られてりゃいいんだよ!」
う〜ん…一方通行過ぎて話が通じない。
「それより俺と勝負せんか?」
「結構です。」
断じてお断りさせていただきますとも。
…はあぁぁ〜…。
行くの止めようかな。
面倒臭い予感しかしないんだけど。