第12章 懐かしい顔と新しい顔
「な〜んだ。折角、無口で通したのに。全部ご存知だったとは。」
念入りにコンタクトまで仕込んだのに。
「こちらも少々あなたを侮ってたわ。写輪眼なしでもここまでやるとは。」
あ、写輪眼の使用度合いは隠した方が良かったんだ。
あぶねー。
「…まさか、コンタクトでもしてるの?」
ぎくっ。
「くくくっ!本当に噂通りね。全部顔に出てるわ。」
くそっ。
だから腹芸なんて嫌いなんだよ。
「あら、私は気に入ったわよ。」
「…それって単に分かりやすいからってだけですよね?」
「他にある?」
「ありませんけども。全く嬉しくないのも事実です。」
嫌味にしか聞こえないっつの。
「ふふふ。真っ直ぐな子ね。綱手によく似てるわ。」
嬉しい言葉だけど、この人に言われるのは…なんだかなぁ。
「あら、私のことはキライ?」
「好きって人の方が珍しいんじゃないでしょうか?」
それだけの事をしてるって自覚くらいはあるよね?
「物怖じしない子ね…。」
言うと同時に禍々しい嫌な殺気を向けられて、背筋がぞわっと泡立つ。
綱手様と同格位かな。
綱手様の方が怒髪天を突く勢いで殺気を向けてくるから、そっちの方が怖いかな。
「あら、もっと怖がるかと思ったのに。」
「よく、綱手様を怒らせてたもので。」
慣れっこと言えば慣れっこだ。
「ふふっ、変わった子。どう?少し寄って行く?」
え?
「ここを探してたのでしょう?」
「まぁ…、そうですね。」
「普通は隠すものじゃない?」
大蛇丸は少し呆れながらも笑う。
「見ての通り、嘘が下手なもんで。だったら、別に言っちゃってもいいかなって。」
ぺろっと舌を出して戯けると、「そう」と言ってふいっと視線を逸らす。
「それはそうと、そろそろあの子を離してあげてくれないかしら?」
彼の視線を追う先には黙って捕まったままのカブト。
言われるまで存在感がなかった(笑)