第12章 懐かしい顔と新しい顔
「たっだいま〜。」
「お帰り。」
「静かに入ってきてくれませんかねぇ。」
「すんません。今日は早いですね。任務終わったんですか?」
最近、家を作ってみた。
つってもテンゾウさんみたく精密なものじゃなくて、岩で作ったかまくら的なものだけど。
ある日、宿を取れなくて、試しに作ってみたらそれが「楽だね」って話になったことがきっかけだった。
んで、ちゃんと場所を選んで人目を避けて建設。
厚みをしっかり作ると、外気に影響されなくて意外と快適だった。
中央にリビング色の強い多目的スペース(リビングって言うと鬼鮫さんが嫌がる)で、隣がキッチン、お風呂、奥にかまくらを足して、私とイタチの部屋。
別棟に鬼鮫さんの家を作ってみた。
二人は大体多目的スペースのソファで休んでるの。
イタチの部屋には行ったり来たりするけど、鬼鮫さんの家には一度も入れてもらった事はない。別にいいんだけどね。
二人ともこの家はそれなりに気に入ってるらしいよ。
「あぁ…、そう言えば表にいつもの狐がいましたよ。」
「マジっすか!」
ゴンちゃんが来てたの!?
私は、荷物を放り投げて急いでキッチンへ向かい、半地下の扉を開けると灯りを持って中へと降りて行く。
「確か…。」
ここら辺に林檎と干し肉があったような…。
「あったあった!」
私はダダダっと駆け上がり、急いで外へ。
「騒がしいですねぇ…。」
お小言が聞こえたけど気にしてられない。