第4章 久方ぶりの里帰り2
「お前さん、誰だ?」
只今、私は宙吊りにされております。
「見ない顔だのぅ。」
ぶらんぶらんと、両足を蝦蟇の食道に捕らえられたままでございます。
あの後、肉壁にぎゅうぎゅうに包まれて危うく窒息死するかと思ったけど、割とすぐに解放してもらえた。
足以外は、だけど。
逆さまにぶら下がってるとさ、段々と鼻が痛くなってくるんだよね。
そろそろ頭痛もしてくるよ?きっと。
「そろそろ離してもらえません?」
っていうか、長時間はほんとに死ぬからね。
「そりゃ無理な相談だのぅ。お前さんがイタチの仲間とも限らんし。」
「だからね、私は暁じゃないんですよ。無関係です!」
「本当かのぅ。」
くそじじぃぃぃ!!
違うって言ってんでしょうが!!
私、時間無いの!
二度も三度も問答繰り返してる暇無いの!!
「だーかーらー!!ちがうって…」
「お前、本当にエニシか!?」
ナルトがサスケに肩を貸しながら、私と自来也様の間に割り込んできた。
サスケは内臓がやられてるのか、話す元気がないみたい。
「…自来也様。」
じとぉっと見ると、渋い顔をしながら術を解いてくれた。
はぁぁ。
漸く自由に動けるわ。
私はナルト達に向き直る。
「久しぶり、ナルト。サスケもね。」
私が答えると、ナルトは満面の笑みを浮かべた。
それとは対照的に、サスケは苦い顔をして俯く。
「…生きてたのか。」
「もっと嬉しそうにしてくれると嬉しいんだけど。」
この分だと、私にも多少恨み言があるみたいね。
何で助けてくれなかったのか、とか。
生きているなら便りくらいはほしかった、とか。かな?
ま、話を聞く前に…。
「ほら、傷見せて。」
サスケを促すと、ふぃっとそっぽを向かれた。
「…いい。」
「いいわけないでしょ。ほら、早く。」
「大した事ない。」
頑固だね〜、この子は。
そう来るなら…。
私はポシェットからハサミを二つ取り出して両手に持つ。
で、にっこり笑った。
「服を切り刻まれるのと、自分で見せるのと。どっちがいい?」
シャキン、シャキン、と音を立ててやるとサスケとナルトの顔が青褪める。
ダメ押しに、そのまま真顔を作ってやった。
「早くしな。」
「「……。」」
今度は黙って服を捲り上げた。