第11章 そうだ、野菜を贈ろう!
「あのさ、気持ちは嬉しいんだけど、ここまでで大丈夫だよ?」
中に入るのは色々とイタチを引っ掻き回しそうだし。
いや、今も引っ掻き回してるのかもしれないけど…。
そう思ったのに、渋い顔が返ってきた。
「…なら、どうやって入るつもりだ?」
「行商人にでも化けて、行こうかと?門番も前回と同じ人っぽいし、影分身も美人にすれば何とでもなるかなぁと。」
あの二人、かわい子ちゃんに弱い気がする。
でも、イタチはそうは思ってないらしい。
遂には頭を抱えてしまう。
「まるで綱渡りじゃないか…。その間、俺はここでやきもきしながら待ってなきゃならないんだぞ?」
「あー…うーん…。そんなに?」
っていうか、待っててくれるのか。
てっきり帰るものとばっかり…。
うーん、そっかぁ。
だったら、ここで待ち惚けさせるよりかは却って一緒に行ってもらった方がいいかな。
「んじゃ、お願いしていい?」
そう言ったら、一度じとっと見てからふいっと視線が外れる。
その目には写輪眼が浮かんでいた。
「…行くぞ。」
「イエッサー。」
ぼぼん、と互いに影分身を出して荷物を分配。
人目のつかない場所から塀を登って行った。